お知らせ

東京国際大学国際交流研究所「2017年度第1回公開講演会」のお知らせ

東京国際大学国際交流研究所にて、下記のとおり「2017年度第1回公開講演会」が開催されます。
皆様、ぜひ足をお運びください。
下記のとおり、大学ホームページにても案内されております。
http://www.tiu.ac.jp/news/upload_files/20170527_symposium.pdf

「一神教」認識と他者イメージ――
「エジプト人モーセ」問題とイスラーム、そして私たち

日時:2017年5月27日(土)14:00~16:30 (開場13:30)
会場:東京国際大学 高田馬場サテライト4階
☆参加費無料 ☆事前申込不要(先着順) 定員70名

講師:東京大学名誉教授  板垣雄三先生
[学歴・研究歴]
1931年生。東京大学文学部西洋史学科卒業。
東京大学東洋文化研究所助手、東京外国語大学アジア・アフリカ言語文化研究所助教授、東京大学教養学部教授、東京大学東洋文化研究所教授。
東京大学定年後、東京経済大学コミュニケーション学部長。
その間「イスラム化と近代化」・「日本・アラブ関係」・「中東の社会変化とイスラム」・「イスラームの都市性」など国際共同研究を組織し、アインシャムス大(カイロ)や民族学博物館(大阪)でも研究・教育を行う。
以上のほか半世紀間、非常勤で約30大学にて歴史・政治・宗教・思想・地域学等の科目を教えた。
[職歴と現職]
日本学術会議会員・第1部長(人文科学)、国際歴史学委員会日本委員会委員長、日本中東学会会長、日本イスラム協会理事長、アジア中東学会連合会長、日本・イスラム世界文明対話世話人・日韓歴史家会議組織委員長などを歴任。
2003年、文化功労者。1964年アジア経済研究所発展途上国研究奨励賞、1989年大同生命地域研究奨励賞、1991年JCJ特別賞など受賞多数。
現在、東京大学・東京経済大学の各名誉教授。

講演趣旨:「一神教vs.多神教の臆断を再考するために」
一般に一神教の歴史は、紀元前14世紀エジプトのアクエンアテンを自称したファラオ=アメンホテプ4世の宗教革命に発するとされている。ところが、一神教を代表すると自負するユダヤ・キリスト教文明の側からエジプトは一神教への対立者=偶像崇拝の巣と目される。一方、「ヘブライ人モーセ」ならぬ「エジプト人モーセ」像が一神教を止揚するものとして見なおされる動きも続いてきた。その20世紀現象としてジークムント・フロイトの最晩年の議論(『モーセと一神教』、例えば渡辺哲夫訳ちくま学芸文庫や岩波フロイト全集22)を踏まえて、「エジプト人モーセ」問題は近年、広く関心を集めている。その中でも注目されてきたドイツのエジプト学者・宗教学者Jan AssmannによるMoses der Ägypter: Entzifferung einer Gedächtnisspur, 1998の邦訳、ヤン・アスマン[安川晴基訳]『エジプト人モーセ:ある記憶痕跡の解読』、藤原書店)が本年1月刊行された。
これまでとかく看過されてきたイスラームへの視角から「エジプト人モーセ」を考えつつ、アスマンの仕事をどのように評価できるかを、ことに一神教vs.多神教の理解において誤った臆断をかかえる日本社会の中で、問題としてみたい。